プロジェクトという形で、必死になって旗を振っているときは、みんな真剣に取り組む。
いったん熱が冷めてしまうと、あっという間にもとに戻ってしまう。
これでは強い生産現場に生まれ変わらない。
モノづくりの中心には、あくまでも人間がいるべきだし、人間の手によってしか、モノづくりは進歩しない。
新しいモノづくりの手法を求めるのは結構だが、肝心の「人づくり」をおざなりにしてしまったら、決してその手法は定着しない。
期待どおりの効果を発揮する日もない。
T生産方式は、五○年間にもわたる「改善」の歴史があって初めて、最強のモノづくりであり続けるという事実を忘れてはならない。
マンネリを防ぐには、現場で働いている一人ひとりが、問題意識を持って、仕事に取り組み、問題解決のための改善を積み重ねていく以外にはない。
もちろん問題意識を持つには、「品質へのこだわり」と「厳しいコスト意識」が前提である。
そういう社員集団の創造が、強い生産現場をつくる。
大量生産方式の自動化された工場を見学すると、機械のそばに座って、ただ新聞や漫画雑誌を読んでいるだけの人を目にする例がある。
工場長は、「これは最新鋭の設備です」と自慢するけれども、機械のそばにただ座っているだけでは、人の仕事とは言えない。
まして、これでは考えたり、工夫する余地などまるでないし、やる気も出てこない。
それに対して、多品種少量生産方式で、一個(セット)流しに徹している企業の社員は、少しでも自分の技能を向上させよう、少しでも安くていいものがつくれるように工夫しようと考えながら日々仕事をしている。
いったいどちらが人間らしい仕事をしていると言ない」とある。
この言葉のなかに、T生産方式の強さの秘密がある。
今日のように市場が変化している時代では、どんなに優れた手法を導入しても、改善の手を緩めたら、瞬時に陳腐化してしまうに決まっている。
最も大切なのは、トップ自身が何を目指すのかという、志の高さだ。
企業を指導するにあたって、一つだけ条件をつけるとすれば、トップ自らが生産現場の改革に乗り出さないような企業には、何を教えてもものにならない、である。
他社の生産ラインを見学に行くのも部下任せ、改善の進捗状況のフォローも人任せでは、せっかくの新しい方式も一過性のものに終わる。
これでは改善が永続するはずがない。
反対に、トップ自らが率先して改善に取り組む企業であれば、とことんつき合うし、そういう企業はT生産方式を、自社流にアレンジして必ずものにできる。
日本のトップは、現場に足を運ばない口実として「現場に任せている」という表現を使う。
けれども、現場を知らずして、自社のモノづくりの変革などできるはずがない。
まずはトップ自身が、自社のモノづくりの問題点を知る眼が不可欠だ。
同時に、「改善は永遠にして無限である」という信念を、トップはしっかりと肝に銘じるべきだ。
市場が急速に変化していく時代、トップが「これで十分だろう」と満足した瞬間から、企業は時代の変化に取り残されていく。
米国の格付け会社によれば、企業の評価の五○%はトップによって決まるという。
必要なものを、必要なときに、必要なだけ手に入れれば、生産現場のムラ・ムリ・ムダ(一般的にはムダ・ムラ・ムリという言い方をするが、T生産方式では、生産量にヤマタニ、つまりムラがあるから、間に合わせようとムリをすることになり、結果的にムダが生じるとして、ムラ・ムリ・ムダの順番になる)をなくして、生産効率があがるという考えに基づく。
平準化生産を前提とし、「後工程引き取り」「工程の流れ化」「必要数でタクトを決める」を三つの基本原則とする。
T生産方式の二大支柱の一つ。
T生産方式の代名詞として使われているが、実際にはT生産方式の基本思想を支えるのは「ジャスト・イン・タイム」と「自働化」である。
に組み込まれていた発想。
糸が切れたりなくなったりした場合、ただちに機械が止まり、不良品の生産を防ぐ仕組みにヒントを得たもの。
Tでは、すべての機械に「人間の知恵・職場の知恵」、つまり「ニンベンのついた自働化」を組み込み、何か異常があれば、機械はただちに止まる。
この考え方を生産ラインにまで広げ、異常があれば、作業者自身の判断で機械を止め、何が原因かを徹底的に調べる。
「機械が止まる、ラインを止める」ことで、問題の顕在化を図り、改善を重ねる。
反対に「ニンベンのつかない自動化」は、動くだけのものであり、異常があると型を壊したり、不良品を大量生産するため、人が見ている必要がある。
これでは自動化しても、人がいるために意味がない。
「かんばん」方式は、T生産方式をスムーズに動かしていくための手段。
後工程が、前工程に「必要なものを、必要なとき、必要なだけ」取りにいく際、引き取りあるいは製造指示の情報として使われる。
長方形のビニールの袋に入った紙切れなどが「かんばん」として用いられる。
「かんばん」が外れた分だけ、後工程は前工程に引き取りにいき、前工程は「かんばん」の外れたものを、外れただけ外れた順番につくっていく。
つくりすぎのムダを省く。
「かんばん」の代わりに、「生産指示票」を使うケースもある。
流れるようにつくるたくさん固めて加工して、次の工程へ送っていく方式に対して、加工工程順に異なった機械を配列して、一個一個加工してつくり上げていくやり方。
この方式によって、つくりすぎによるムダを省き、ひとりの作業者が種類の異なる複数の機械を担当する「多能工」化して、生産効率のアップも可能になる。
が記載されている。
作業改善は、標準に対して、標準作業をこういうふうによくした、というのが本当の改善である。
標準作業があるからこそ、改善ができるというのがT生産方式の基本的考え方。
生産量に応じて、五人でも三人でもやれるようにして、定員化しないやり方。
四○○○個を一日かけて八人でつくるとすれば、二○○○個のときは同じく一日かけて三人でつくれるようなラインのつくり方を初めから用意している。
大きな生産量をいかに少ない人数でやるかが基本。
そのためにはチームワークが発揮しやすい環境整備も重要になる。
効率的な生産を図るために、モノと機械と人の動きを最も有効に組み合わせたもの。
標準作業表には、タクトタイム(一個を何分何秒でつくるか)、作業手順(作業者が作業をしていく順序)、標準手持ち(これだけは必要という工程内の仕掛品)の三つの要素T生産方式は「必要数」のうえに組み立てられている。
「必要数」とは、「売れ行き」であり、市場の動向で決まり、企業が勝手に増減できないもの最終工程の生産がバラつくと、後工程の引き取りがバラつくため、前工程はどうしても「ヤマ」に合わせて、人や設備を用意したり、場合によっては在庫を抱えて対応する。
そうしたムダを避けるために、最終工程はできるかぎり生産のバラつきをなくした「生産の平準化」を心がける。
月に一○○○個の商品をつくる場合、二○日稼働であれば、一日に五○個ずつ、コンスタントにしかも一日八時間かけてつくるのが望ましい。
多品種少量生産の場合も、混合ラインでロットを小さくして、生産の平準化を図る。
少人化、生産現場は日ごろから徹底的にムダを排除する必要がある。
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